私の種族は、多分それなりに、かなり、強さというものに重きを置く種族だった。

そうすると、私みたいな身体能力上の弱者が邪険にされるのは至極当たり前だったりして。

たまたま私は頭の回転が、どちらかというと速い方で。おかげで多くの妬みを買いながらも、種族の長の近いところで働くことが出来ていた。

一応言っておくと、私はべつにそうなりたかったわけじゃない。長の好意という名の強制力でそうなったのだ。

私より強いにも関わらず私より役職が低い奴らが私を嫉むのが自然の流れってもんだ。

要するに、私はみんなからあまりよく思われていない。そうでなくても弱者は恥とされるわけだし余計に。

現に今もちょっとしたいじめを受けていたりする。リンチ、みたいな。




「大の男が寄ってたかって獲物に群がってやがるから一体どんなに立派な獲物なのかと思いきや・・・。おまえ、見かけによらず実は凄いんですってタイプか?」


五人ぐらいいた男が倒れたり二つに割れたりして(結構グロかった)、その後ろにもう一人、私の見たことのない男が立っていた。

人を殺せる鋭さの目だと思った。

私の種族では、こういう男は100年に一度の逸材として扱われる。


起き上がる気の無い私の横に、男は座り込んだ。殺されるのだろうかと思ったけど、それでもいいとも思った。

極端に戦闘能力の低い私。異端児として生きていくのは見かけよりずっと重く疲弊感を募らせた。

黒い羊の群れの中に白い羊が一匹だけが混じっていれば、白い羊でさえ異端と見なされるのだ。




「・・・逃げるとか泣くとか叫ぶとかしろよ、お前。」

「え・・・すみません。何かやる気なくて。」



呑気に考え事をしていたら文句を言われた。

面白くねぇ、と呟かれたので、もう一度謝っといておいた。

どう考えてもあの五人を殺ったのはこの人で。あぁ私の種族は全滅したんだな、と直感で察した。



「強ぇのか、お前は。」

「いや、弱いっす。弱いからいじめられてた、みたいな。」

そうか、と返してから、男は立ち上がって、周りにある死体をごろりと足で転がした。

「この雑魚より弱いってどんだけ・・・この星に住んでるのは、一応戦闘民族だって聞いたんだが。お前はここの奴じゃねーのか?」

「いえ・・・一応、この星の種族の筈・・・です。でも、もしかしたら違うかもしれませんね。」



寧ろその方がいいと思った。だって、そのほうが自分に納得がいく。

周りから異端児扱いされることが辛いのは、それに耐えるだけの内面の強さが私にないから。

異端児扱いされる度に自分の存在を簡単に奪われてしまう私。自分で自分を疑うことが、何よりも辛かった。


「そうかよ。」


ふん、と鼻を鳴らして男は死体を冷たく見下ろした。

この人は私を殺す気はないのだろうか。嗚呼畜生、殺されたくない。だって、だって。


「貴方・・・侵略者?」

「あ?・・・多分。でも、もしかしたら違うかもしれねぇな。」

男は人の悪い笑みを浮かべて私の台詞をパクった。


「また違う星に行くんですか?」

「そうだな、もう此処にはいられねぇな。」

「・・・連れて行って欲しいなぁ、とか言ったら・・・引きますか?」





だって、だってこんなに冷たくて魅力を秘めた目は見たことが無い。




「・・・別に構わねぇ、が。お前が、耐えられるっていうならな。」






こうして、私の変態人生は幕を開けたのであります。









Come On!シリーズのヒロインとタレさん出会い編。