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「ー、降りてこいよ!」 銀ちゃんに大きな声で突然階下から呼ばれて私は吃驚した。 桂ちゃんから借りて読んでた本を丁寧に閉じて机の上に置いて、部屋を出て、階段の上から顔を出すと銀ちゃんが大きな袋を二つ掲げてにって笑った。 「花火しようぜ、花火!!」 「ちょ、やめろよ高杉、え、うわお前もかよ何で俺だけえぇぇえ!?」 皆から花火を向けられて銀ちゃんはぎゃーぎゃー走り回ってる。慌てる銀ちゃんに対して、晋助くんがいつもより楽しそうなのが面白い。 さっき別の子が私にも花火を向けようとしたんだけど、晋助くんが「女に向けんのはなしだろ。」って言ってくれたおかげで助かった。仲間に入れなくて寂しいような気持ちと助かったっていう気持ちと、よくわからないけどきゅんとした気持ち。 「、楽しんでる?」 何とか皆から逃れた銀ちゃんが私の顔を覗き込んだ。 「うん、楽しい!」 「そっかそっか、なら良かった!やっぱ皆が楽しくないと意味ないもんなー。」 花火を持ってない銀ちゃんはぐしゃぐしゃと私の頭を撫でた。いつもはうるさい銀ちゃんだけど、時々お兄ちゃんみたいだなって。そんなことを思ってると、銀ちゃんを見付けた晋助くんが「銀時、お前の近くにいたら花火向けられねーと思ってんだろ」だって。ちょっと笑っちゃった。 「おまっ、俺がそんな卑怯な男に見えるかよ!?」 「おー。違うってんなら今すぐの傍から離れてみろよ。」 いつもみたいな言い合いに笑いながら私は一本の花火に蝋燭で火をつけた。花火が燃えるシュワーって音と、みんなの騒ぐ音が混ざり合って、よくわからないけど楽しい。 いいな、楽しいな、嬉しいな。無意識に頬を上げたままじっと火花を見てると、火のついてない花火を持った晋助くんが近づいてきた。 「、火ィくれ。」 「・・・火・・・あげれるの?」 「何だァ、お前知らねーの?花火ってのは蝋燭だけでつけるんじゃねーんだぜ。」 じっとしてろよ、そう言って晋助くんは私の横に立って、自分の持ってる火のついてない花火を、相変わらずシューシュー音を出して綺麗に咲いてる私の花火に引っ付けた。いつもじゃありえないぐらい晋助くんが近くてちょっとドキドキする。 「わ、ついた!」 「ホラな。」 私の花火から『火をもらって』ついた晋助くんの花火は、私のそれよりも少し青みがかった花を咲かせた。危ない(というか怖い)から花火をするときは出来るだけ他の人と距離を保ってた私にとって、これは凄く新鮮だった。 「・・・あ、晋助くん、線香花火しようよ!」 「もう?まだ他のいっぱい残ってんぜ?」 「だって最後にやったら寂しいもん・・・他のが残ってるうちに線香花火もしようよ。」 あぁ成る程、と晋助くんは頷いた。それからもう火の消えた自分の花火をバケツに放り込んで、相変わらず騒がしい銀ちゃんや他のみんなに声をかけにいった。 「線香花火すんだって?じゃぁ勝負だな勝負!」 「勝負?」 「最後まで線香花火が残ってた奴の勝ち!勝った奴は他の奴らに何でも命令できるんだぜ。」 見てろよ高杉!大げさに銀ちゃんは意気込んだ。 何でも命令・・・特に命令したいことがあるわけじゃないけど、きっと負けたら掃除当番や食事当番を代われって言われるんだろうなぁ。それは嫌だから、負けたくない。 二本の蝋燭を使ってみんなが一斉に火をつけて、勝負スタート。 晋助くんの邪魔をしようとした銀ちゃんは返り討ちにあって一番に負けた。でもそのときに大きく動いたせいで、晋助くんの火も落ちちゃって。 こんなにぎやかな線香花火は初めて。今までお父さんとお母さんと花火をした時は、楽しいけど穏やかで、勝負なんて言葉とはかけ離れた時間の中で花火を楽しんでた。確か前に花火をしたときは、私が火傷しそうになったのをお母さんが助けてくれて、 (お母さん、お父さん、) 小さな小さな火花の向こうに、もう帰れない時間が見えたような気がして。じんわりと、涙みたいな感情が胸に染み渡っていく。 「なァ、これの勝ちなんじゃねーの?」 晋助くんの声にはっと我に返ったときには他のみんなの火は落ちきっていた。 結局、何だかんだで勝負には私が勝ってしまったみたいだ。 「何だよかよぉ・・・ってさー何か結構美味しいとこ持って行くよなぁ。」 「え、そうかなぁ?」 「あー頼むから無茶なことだけは言うなよ!言っとくけど俺逆立ちで走るとかできねーからな!」 「だ、誰も言わないよそんなこと・・・」 命令・・・勝った人は他の人全員に何でも命令できるんだそうだ。そうは言われても、急には思いつかない。 「命令・・・特にないんだけどなぁ。」 当番を代わってもらうとか?でも当番の仕事はそんなに嫌いじゃないし・・・ あ、そうだ! 「じゃぁ、大人になってもみんなで集まって花火すること!これが命令ね!」 |