「コレ、開けてv」
――――突然、彼女がやって来た。
貫通
「ほら、とりあえず冷やしとけ。」
「はーい。」
いくら突然であったとはいえまさか彼女と言う名の訪問者を邪険に扱うわけにもいかず、とりあえず、とターレスはを家へ上げた。
「どれぐらい?」
「感覚なくなるまで。」
「ええぇ・・・・」
「嫌なら良いけどよ・・・・痛いままやるのもそれはそれで楽しそうだし。」
「・・・・しっかり冷やさせていただきます。」
は、耳元の袋入りの氷をしっかり押さえた。
「何で俺なんだよ。」
「ぇーだってバーダックは面倒だとか言ってやってくれなさそうだし、ラディはへたれだから無理かもだし・・・・・ぁ、もしかして迷惑だった?」
「いや、全然。」
寧ろ他の奴がの体に傷をつけるなんて、想像しただけで限界を越えてしまいそうだ。
「なら良かった、やっぱどうせなら好きな人に開けてもらいたいじゃん?」
『ターレスってサドっ気あるからピアス開けるの好きそうだし』と付け加え、はくすくすと笑った。
「(・・・・どうかしてるぜ。)」
まさかこんな女の放ったたった一言にここまで動揺させられるとは。
それは、以前の自分なら全く考えられないことで。
「もういけそうか?」
「うん、多分・・・・」
「じゃ、いくぞ。」
ターレスは大きな手でピアッサーをの耳に固定した。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
聞こえるはずのがしゃんという音も予想していた痛みや衝撃もないまま、30秒がすぎる。
「〜〜〜ちょっと、やるなら早くしてよ!」
「いや、だってよ、」
軽く唇を噛み目をぎゅっと閉じて痛みに耐える準備をしている表情は、まるでアノ時のようで。
「待ってるこっちは気が気じゃないんだからね・・・・」
「ぁーはいはい悪かったよ。」
くっくっと笑うターレスからは罪悪感なんて微塵も感じられなかったが、いつものことなので今更突っ込んだりはしない。
「じゃ、もっかいいくぞ。」
「今度はちゃんとやってよねー」
もう一度ピアッサーを固定し、がしゃんという音と共に穴を開けた。
その衝撃にはびくりと少し肩を跳ねさせたが、特に痛みは感じなかったようだ。
「ほら、開いたぞ。」
「わ・・・・ほんとだ、全然痛くないんだねぇ。」
「俺様の腕をなめんなよ。」
「たかがピアスじゃないのさ。」
なんだかんだ言いながらも、手鏡で耳を見るの顔は満足そうで、柔らかな笑顔を浮かべている。
「消毒とかちゃんとやっとけよ。」
「はーい」
そんな目の前の満足そうなに苦笑してから、ターレスは何気なく自らの手を眺めた。
「(・・・・・・やべぇ。)」
穴が開く瞬間、駆け巡ったあのぞくりとした感覚。
今目の前の彼女の耳に穴を開けたのは自分だと思うと込みあげてくる感情。
どうやら、「ターレスってサドっ気あるから」云々というの言葉は完璧に的を得てしまっているらしい。
「・・・・ま、予想はしてたけどな。」
「ぇ?何・・・・ひゃぁっ、」
ターレスは相変わらず御機嫌な彼女を後ろから抱きしめ、未だ新しい自分がつけた傷を、そっと愛しそうに舐め上げた。
仮タイトル「危ないお兄さん」(笑)
こうしてヒロインの何気ない行動が引き金を少しずつ引いていくわけです・・・
短くお馬鹿な話でしたが、少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。