「女ならー・・・・・超可愛がる。」
「男なら?」
「超強くする。」
「・・・・やっぱ、三年で人って変わるんだねぇ。」


いつもの屋上、いつもの風、いつもの空、いつもの隣

終わりが近付くいつもの中で、過去を感じたりしてみた。







「一年の時に聞いたら、『強けりゃ良い』って即答してたよ、アンタ。」
「そりゃ強いに越したことはねぇけど・・・・あんま強すぎても苦労すんだろ?オマエが。」
「何で私?」
「餓鬼が強すぎたら大変だろ、母親は。」


見開いた目をぱちぱち、と数度瞬かせて
思わず、隣でごろりと転がっている色黒色男を凝視してしまって
それから、かあぁ、と顔に熱が集まったのがわかった。


「っとに、アンタはもう・・・」
「あ、別に今のプロポーズとかじゃねぇから。」
「はぁ?」
「俺、そーゆー雰囲気とか大事にしたいからさー。プロポーズはド派手な演出と共に、な。」
「・・・・・・。」


盛るときはそーゆー雰囲気があろうがなかろうがいつでもどこでも盛るくせに


思ったけど、言わない。
言えばこのままヤられること必至だから。



「もうすぐ卒業だねぇ。」
「あぁ。」
「ちょっと・・・・寂しい気がするね。」
「そうだな。」
「あと一週間、雨降らなきゃいいなぁ。」
「あぁ・・・・あ?何で?」
「もうローファーぼろぼろだからさ、雨降ったら染みてくんのよ。」
「・・・・・・・。」


ぱたぱたとローファーに覆われた足先を動かしてみる。
隣でターレスが呆れた目をしてる。ような気がする。


「・・・・買えよ。」
「うん多分アンタじゃなくても同じこと突っ込むよね、でもだってあと一週間なのに買い換えんの嫌じゃん。」


そーかよ、と物凄くどーでも良さそうに呟いて、ターレスがごろんと転がってきた。
と思ったら、そのままの勢いで太股の上に頭を乗せてきやがった。


「ちょっと、」
「ねみー」
「寝るなら一人で勝手に寝てよ!」
「んー」


肯定にも取れるような唸りを発して、でもそれとは反対に腰に腕が絡んできた。


「もー・・・・」


目は瞑ってるけど、多分起きてる。・・・・気がする。



三年間着続けた制服
履き続けたローファー
鞄・・・・は途中で一回痴漢撃退にぶん投げて潰したから、今の鞄は実際には一年ちょっとしか使ってないけど
校舎、通学路、先生、友達

上げればキリがないけど、三年間ずっとお世話になり続けたモノは結構多い。



「なんだかんだで・・・・タレともずーっと一緒だったもんねぇ。」
「だって、俺にべた惚れだったジャン。」
「・・・・最初に迫ってきたのはそっちだからね。」


ぺち、とターレスの頭を叩いたら、その手を掴まれた。
顔を上に向けた彼と目が合って、じっとその奥を覗き込んでみて、聞いてみた。


「ちょっとは、何か変わった?」
「三年で?」
「そ。」
「・・・自分じゃわかんねぇ、けど。周りからはよく言われる・・・から、変わったんじゃね?」
「・・・・・柔らかくなったよ。いい意味で。」


黒い瞳が何?と聞いてきたから、もう少し詳しく、わかりやすく。


「前より、普通のオトナシイ女の子にもモテるようになった。」
「へぇ、んじゃあと一週間で遊んどかねーと・・・・ぃってぇ、冗談だって!!」
「冗談にキコエマセーン。」


頬をつねっていた右手を放して、ひらひらとさせてみた。
チャメっ気アピール、みたいな?



。」


ふざけてない声で名前を呼ばれて、大きな手で頬を挟まれた。


「周りが言ってることは自分じゃよくわかんねーけど、一個、自分でもよくわかってることがある。」
「うん?」
「三年前より、去年より、オマエのこと好きになった。」


本日二度目

目を見開いて
今度は瞬きするより先に、顔が熱くなった。


「んな・・・・っ」
「うっわ照れてんの?カワイーv」
「もー信じらんないっ、前から思ってたけどアンタ恥ずかしすぎんのよ!!」


楽しそうに笑いながらターレスは体を起こして
それから、『だって本心だし』とか、言われた。


「ま、卒業してもさ、どうせ俺もも独り暮らしなんだし・・・・お互いの家入り浸ってんのがオチだと思うぜ。」
「うっわありえそー、簡単に想像できてイヤー・・・・」
「とか言ってても、オマエ卒業式は泣きそうだよな。」
「だって先生とか友達とかとあんま会えなくなるじゃん。」
「・・・・・突撃お宅訪問とかやらねぇ?悟飯とか、反応面白そうだぜ。」
「・・・・・たまにはいいこと言うね、タレも。」


何故か、ぐっと握手を交わしてみたり。


「あんま泣くなよ、式の時。」
「何で?」
「すっげヤりたくなるから。が泣いてんの見ると。」
「・・・・・・・・。」


変わったり変わらなかったり
終わったり続いたり始まったり



願わくば、一週間、どうか雨が降りませんように。








ちょっとだけ、世間の波に乗って卒業式チックに。
基本的に、タレはヒロイン相手ならいつでもどこでも盛ることが出来ます(最悪)