「おい、そっちは・・・・」


ゴンッ


「・・・・・いっ、たい・・・・」
「大丈夫か・・・・・?」


打った額より、その中身が。







朝出会った時から、明らかにの様子がおかしかった。
普段は朝からテンションの高いが、今日はやたらめったらテンションが低く目も虚ろで人の話もろくに聞いてない、更には電柱に正面衝突するという様だ。
さすがのターレスもこれには面食らった。


「どうしたんだよ、寝不足か?」
「ちょっと久々に本を読んだらハマってしまいましてですね・・・・」
「・・・・それで電柱にぶつかってるんじゃ世話ねぇな。」

いつもならものの一秒もしないうちに返ってくる反論の代わりに、盛大な欠伸の声が聞こえた。














「・・・・、!」
「・・・・何・・・・」
「何じゃない、次移動だよ!」

机に突っ伏していた顔を上げると、目の前に不機嫌丸出しのが仁王立ちしていた。

「あんた朝来てからずっとその状態じゃん、いくら起こしても起きないから先生も諦めてたよ?」

そうかそういえばここは学校だった等と考えながら、ぽんっとの両肩に手を置いた。

「・・・・私の眠りを妨げるものは許さん。」
「はぁ?ってちょ・・・・・待てコラ、!!」


某バスケ漫画の台詞を真顔で放ってから、はそのままふらふらと教室を出て行って
しまった。

「・・・・あの子、大丈夫かな・・・・・」


勿論、頭の中身が。










「・・・眠気が覚めん・・・・」

彼氏と親友の二人から同じように失礼な心配を受けているとは露知らず、いつもの屋上、いつもの丁度いい日陰の場所にいつものように寝転がり空を見上げた。

「いーい天気だなぁ・・・・」

そうだ、私の眠気も半分はこの天気のせいに違いないと本日の数々の失態の責任を天気にも分け与えながら、のんびりと流れる雲を眺める。

特に逆らう理由もないからと、襲ってくる眠気にそのまま身を委ね目を閉じた。















「ぃだっ」

喉元の微かな痛みに目を醒ますと、逆さまの世界が見えた。

「・・・・あ、れ・・・・って、えぇ!?」
「何だ、もう起きちまったのか。」
「ねぇ、何か喉が痛いんですか。」

言外に何か余計なことしただろうお前というニュアンスを加え、起き上がりながら自分の体を長い足に乗せていた男に目をやった。
少しだけ痛む喉に手を当ててみると、妙な感覚がするではないか。

「・・・・何をしてくれたのかな、ターレス君。」
「いやぁ、あまりにも上手そうだったからつい口が先に動いちまった。」
「だからって歯形つくほど人の首噛むな、真面目に痛いわっ!!!」
「彼氏が吸血鬼、とかだったら萌えねぇ?」
「萌えない、むしろ燃やしてやる。」

・・・・・だって。
朝から様子のおかしかった彼女を探しに来てみれば、無防備な寝顔を晒してやがるし
伏せられた睫は長いし
肌は雪のように白いし
白肌によく映える漆黒の髪は風が吹く度にさらさらと揺れるし
その度に見え隠れする白い喉元が吐息と共に上下するのなんて見せられたら。


「いつもこんなとこで寝るなっつってんだろうが、襲われんぞ。」
「うんあのね、普通の人間は学校で寝てる女襲ったりしないの。」
「平和ボケもいい加減にしとけよ、大体そんな上手そうな首晒してるお前が悪い。」
「・・・・吸血鬼は、血の美味しさを求めてるんであって、首筋にはあんまりこだわらないと思うヨ。」
「いちいちうっせーな、」
「うわっ」

ぐっと体を押され、もう一度ターレスの膝に頭を預けることになる。

「何すんのよ!」
「いーからおとなしくしてろってv」

徐々にターレスの顔が降りてきたかと思えば、喉元に再度ちくりとした痛みを感じた。

「ぃ・・・っ、」
「ちょっとぐらい痛い方が好きだろ?」

やだやだやめろやめないと100代先まで呪うぞ、と暴れてみるもの両手はあっさりとターレスの大きな片手に捕えられてしまう。

「ばーか、力で俺に敵うわけねぇだろ。」
「犯罪だ、ゴーカンは犯罪だ・・・・!!」

両手を頭上でターレスの右手に捕えられ、ついでに余った彼の左腕は半ば抱き抱えるようにに回され、更にその抱えられた体下には腹が立つほど長い彼の足がある。

「くぅ・・・・」

これじゃどう頑張っても逃げられないじゃないか

嘆く間にも、彼の唇や舌は首筋からどんどん下がっていく。

「もう本なんて読まない・・・・・・・・」


後悔と決意の涙を浮かべた瞳に、青い青い空が映った。






***





「急がなきゃ、ビーデルさんが危な・・・・・・・・・・・ぁ?」
「あ"?」
「あっ!!」

勢いよくドアを開けた瞬間

悟飯は固まり
ターレスは一気に不機嫌になり
は、まるで道に落ちている一万円札を見付けたかのように目を輝かせた。


「ななな何やってるんですか!」
「ナイスタイミング、助けて悟飯くん!!」
「てめぇ、邪魔すんなよ悟飯。」

縋る様なと敵意剥き出しなターレスの視線を受け、悟飯は考えてみる。

ターレスとは付き合っているんだからこういうことをしていても別に不思議じゃないし
自分はビーデルを助けるために早く行かなきゃならないし
面倒事は避けたいし


「・・・・・すみませんさん、僕急いでるんで、」
「助けなかったらビーデルにチクるわよ。」
「・・・・・・・・・・・すみませんターレス。」
「あ"っ、てめぇ!!」

半ば抱えこまれているをターレスの腕から引きずり出す。

「っとに、学校で何やってるんですか・・・・」
「てめぇに答えてやる義理はねぇ。」

けっ、とターレスは顔を反らした。

「あーぁー悟飯くん、君何か急いでたんでしょ?」
「そうだっ、ビーデルさん!」

ばっとその場に仁王立ちしたかと思うと、ご飯の服装が突然妙なものに変わった。

「悪は絶対許さない、グレートサイヤマン!!」
「ぇ・・・・・・」

明らかに戸惑っているには目もくれず、「とうっ!」等というかけ声と共に、学校一の優等生孫悟飯扮する一歩間違えればただの変質者になりかねないグレートサイヤマンは、愛する彼女を救うべく空へと消えていった。


「悟飯くん・・・・・・・・知ってたけど、間近で見るとキツイわ・・・・・・・・・・・・」
、今すぐ忘れろ。アレはサイヤ人の歴史における最大の汚点だ。」


アノヒーローに助けられて果たして人々は喜ぶのだろうか?
の疑問が解決される日は遠い。








短い上に場面展開がめまぐるしいですね。その割にはのんびりした風景ですが。
うーん日常的なものを書くのは難しいです。ヒロインを襲うタレは書いてて楽しかったです(笑)
グレートサイヤマンは大好物です。悟飯ちゃんは、多少腹黒な方が好みです(笑)